1月に五十嵐監督に送った、第一段階のデモ音源。

ブ 今日はお集まりいただきありがとうございます。ブタジと申します。またこちらは、僕が3月に新曲をウェブ上で公開し、その曲のミュージックビデオを作ってくださった五十嵐耕平監督です。
五 よろしくお願いします。
ブ 急遽ライブを先にやることになって、既に疲れちゃったんですけど(笑)、ゆっくり喋らせていただきます。
五 僕、ブタジくんのライブ初めて観たんですよ。
ブ あ、そうですよね。ちょっとこの場で感想聞いてみましょうかね、、、。どうでしたか?
五 いやあ、歌上手だなって。
ブ ははは(笑)ありがとうございます。なかなかお昼の時間帯でライブをすることはないので、ちょっとテンポを掴むのが大変でしたが、、、。

それでは、曲を作ることになった経緯から説明していきますかね。去年渋谷のユーロスペースで「息を殺して」を観たんですが、そのときの映像の質感が、とても印象に残っていて。ストーリーについても全てが繋がっているようにみえていて、とても感動しました。なかなか映画を観る機会は無いのですが、その時、3回くらい泣いてしまって。そのとき受けた印象が、EYESという曲を作り始める切っ掛けになっていると思います。
それと、昨年「アウトサイド」というアルバムを発売して、いろいろなプロモーションをしていく中で、とても明快な受け答えをしなければならない、という考えがありました。そこに対する反省もあります。明確に、割り切れるものに対して音楽を作って行くのは、僕の仕事ではなかったな、と。大きくこの2つの理由があって、EYESという曲が出来たんだろうな、と思います。

12月に作り始めて、1月の頭には五十嵐監督に声を掛けさせていただきました。正月あたりに初めてお会いして。最初から、俯瞰映像で、という共通のイメージはありましたよね。
五 最初にメールが来て、曲を聴いたときは、今よりもっと音数がすごく少なくて、その影響も強いのかもしれないけれど、遠くの方で、見ているものと関わりなく存在している、という距離感を感じました。見えるんだけれども、すごく遠い、というような。そういう感覚がとても俯瞰っぽかったです。歌詞の描写も。そしてブタジくんとお会いして、「俯瞰の映像がいいですよね」と言われて、あぁ、そうですよね、となり、会って数分で打ち合わせが終了しかける、といったことがありました(笑)
ブ そうですよね、打ち合わせの後半、正月はどうやって過ごしましたか?とか話してましたよね(笑)
その、見えるんだけれども触れられない、という部分は、EYESの歌詞の中で暗にテーマとして取り上げていたものですね。人が立ち入れない場所にドローンが入って行って、その映像を人がモニタリングしている、というような。認識としてそういう通じるものがあって、うれしいなと思いましたね。

で、ロケに行きましたよね。
五 結局、俯瞰の映像となると、ビルの上から撮影するか、ドローンを使うしかない。そこで、ドローンを持っている人が知り合いにいるので、あと自分でもドローンを買ってみて試しました。また、ちょうどその時、今回の撮影で協力していただいた跡地淳太朗監督と青森に行く用事があり、購入したおもちゃのドローンを持って青森に行きます、とブタジくんに言ったら、「僕も行きます」と言って(笑)
ブ 都内でドローンを飛ばせないのは知ってたんですよ。航空法が改正されて、ドローンを飛ばすのに届け出が必要になっていて。じゃあ、青森で絶対面白い映像が撮れるんだろうから、「行きます」って言って。跡地さんのロケハンについていった形ですね。
もう撮る画とか決まってましたか?五十嵐さん、ドローンをめちゃくちゃ高くまで飛ばすので、なんでこんなに高く飛ばすんだろう、、、とか思っていたんですけれど。
五 危なかったですよね。高く飛ばせれば飛ばした方がいいと思ったんですよ。湖に墜落するところだった。だけど、風が強すぎて、安定しなかったんです。僕が持って行ったのはおもちゃのドローンだったので。そのときには、まだ全体像は全く固まっていない状態でした。とにかく飛ばせばなにか撮れるだろう、くらいの勢いで。
で、飛ばしてみたんですが、風も強いし、あまり飛ばせるところが無くて、使える尺があまりなかった。で、おもちゃなので映像も途切れ途切れになっていて。でも、家に帰って見て、映像自体がとても面白く撮れていることに気づきました。こういうことになるとは予想もしていなかったけれども、意思があるような、感覚が視線にあるような映像になっていました。そのときにもう一度、ブタジくんにどういう映像にするか、相談しました。
ブ MV冒頭数秒間の映像は、胎内の映像のような、昆虫の眼のような独特なものになっていますね。

そうして出来上がった映像が、色々な人に注意深く意味を読み取られていて、「あ、ちゃんと伝わるんだな」という驚きもありましたね。
五 そうですよね、最初は映像にもっと説明を加えようとしていて。これはAIドローンが成長していく物語なんですけど、映像側に、ドローンが録るデータをグラフィック化して反映させようとしたんですが、やってみるとださかったりして。最終的に、映像自体に意思があるように感じたから、全部無しでいいや、と途中で思い、全て無くしました。第一、未来にはそんなUIもないだろうし。

ただ、尺は足りないので、このあとにちゃんとしたドローンを借りる予定だったんですが、その持ち主の方が丁度海外に撮影に行ってしまって。その帰りを待っていたんですが、ドバイの砂漠に落としました、と連絡が来まして、、、。その後、跡地さんに宮内和義さんという、ドローンの撮影を行っている会社の方を紹介してもらい、物乞いのように、素材をください、と(笑)
僕が欲しかったのは、いわゆるドローンの素材として、テレビや映画では使われない、練習用の映像。何かしら、ドローンの動作が見えるようなものを探して、そういった素材をサンプリングする感覚で映像を編集していきましたね。
ブ 作っている最中はすごく楽しかったじゃないですか。ドローンのことをドローンくん、とか呼んだりして。でも出来上がったものをみると、すごくシリアスで、業が深い、という感じがしますよね。

ブ まだ時間が10分くらいあるということで、、、青森の思い出話でもしましょうかね。
五 青森は最高なんですよ、、、温泉が。つがる温泉という同じ温泉に、2日間で3、4回行ってしまって。で、そこの温泉は広いので、サウナに入って、水風呂に入って、露天風呂に行って、と回れるんですね。僕と跡地さんはサウナを出たり入ったり、3回くらい繰り返していたんですが、ブタジくんはずっと露天風呂にいて、ぼくらが露天風呂に行く頃にはもう仏のような顔になっていて(笑)またサウナに行ったりしたんですが、それでもブタジくんはずっと露天風呂にいて、1時間くらい居ましたよね。コミュニケーションを全く取ってなかった(笑)
ブ お湯の温度と気温が本当に丁度良くて、、、。全くコミュニケーションを取らなかった点については申し訳なかったです(笑)
五十嵐さんとは別に、僕はひとりで延泊して、青森に残って居酒屋巡りとかしてましたね。ホタテの写真を五十嵐さんに送ったりして(笑)ほんとうに青森は楽しいところでしたね。また行きたいですよね。

なにかご質問などございますか?
お客さん 映像の日付が、2051年から2078年まで表示されていて、27年間かかって成長している、ということになっていますよね。ブタジさんて、いまおいくつですか?
ブ 僕はいま27歳ですね。すごいですね、、、読み取りますね。でも、全くの偶然です。日付についても適当に選んでいったので。僕の27年間をそこに当てはめた訳ではないですね。
6月号のCDジャーナルに、松永良平さんによる僕のインタビューが載っているんですが、その中にも、おもちゃのドローンで撮影した映像と、宮内さんからいただいた映像の切り替わるタイミングが、丁度3分11秒になっていて、3.11を連想させるつくりになっているのではないかと言われましたが、それも意図していないところでした。どちらかというと、そういう意味合いを排除していきましたよね。
五 そうですね、イメージを与えすぎてしまうので、そういう数字にならないように気をつけていました。結果的にそういうことになっているのは、、、定めですかね(笑)

お客さん 映像の最初で、一番インパクトがあるのは巨大なこけしの滑り台ですよね。結構アノニマスな場所を選んで、映像を作ろうというようなコンセプトがあるように思っていたんですけれども、その場所を選んだのはなぜですか?
五 最初の方は、日付がちょっとずつしか進まない。ドローンが誕生した場所だとしたら、同じ固定の場所でもいいかなと思いました。また、僕らが青森を大変気に入っていた、ということもありますね。

五 EYESというタイトルについては、どうやって決めましたか?EYEではなく、EYESと複数形にしている理由とか。
ブ 身体の、臓器の一部としての眼、ではなく、見る目、という意味を持たせたかったのでEYESと複数形にしていますね。結構最初の段階から、迷わず決めた感じです。
五 また、今までと曲調も違うじゃないですか。それも最初から決まっていましたか?
ブ そうですね。最初からこういうアレンジで行こうと考えてました。これしか選択肢がないくらいに思って、没頭して作りましたね。歌詞もコードも1時間くらいで作り上げて、感情が高ぶっている時にそういうことがあるんですけど。
とてもいい映像を作っていただいて、もし今後機会があれば、爆音上映会とかで上映することができたらうれしいですね、、、。レディオヘッドもそういうことしてるみたいですしね(笑)

本日はどうもありがとうございました。